中東での戦争の影響でエネルギー価格が高騰するなか、IEA(国際エネルギー機関)が「石油消費の削減策」を公表しました。
IEAは20日に公表した報告書で「中東での戦争でホルムズ海峡を通過する海上輸送がほぼ停止したことにより、世界の石油市場に歴史上最大の供給混乱を引き起こしている」と指摘しました。
そのうえで、「石油備蓄の放出など供給面の対応に加えて、使う量そのものを減らす取り組みが重要だ」として、「家庭や企業が石油の消費を削減する対策」を提言しています。
具体的には「在宅勤務の活用」や「高速道路の制限速度を少なくとも10キロ引き下げ」「公共交通の利用促進」のほか、「代替手段がある場合は航空機移動を避ける」「ガスではなく電気を使って調理する」などを「短期的な対策」として挙げています。
また、「将来の石油ショックに備えるための長期的・構造的な対策」として、「電気自動車の普及と充電インフラの整備加速」や「車両の燃費基準の引き上げ」「プラスチック廃棄物のリサイクルの促進」などを提案しています。
<石油消費を削減するIEAの提言>
■短期的な対策
(1)可能な限り在宅勤務を行う
(2)高速道路の制限速度を少なくとも時速10キロ引き下げ
(3)公共交通機関の利用を促進
(4)大都市で一定区域に進入できる私有車を日替わりで定めること(ナンバープレートに基づく規制など)によって渋滞を緩和
(5)カーシェアリングを拡大し、エコドライブなどの効率的な運転手法を導入
(6)貨物輸送において、車両のメンテナンスや積載量の最適化などを組み合わせて効率的な運転を心掛ける
(7)液化石油ガス(LPG)の用途を輸送用から切り替え、調理など生活に不可欠な用途に優先して利用
(8)代替手段がある場合は航空機による移動を回避
(9)可能な限り、電気を使った調理などで近代的な調理方法を促し、LPGへの依存度を引き下げ
(10)石油化学などの関連業界で、原料の柔軟な活用やメンテナンス、操業を効率化
■長期的・構造的な対策
(1)電気自動車(EV)などの普及と充電インフラの整備の加速
(2)道路車両の燃費基準の引き上げ
(3)代替となる最新の調理方法(電化など)の展開加速
(4)産業界におけるエネルギー管理システム導入の促進
(5)石油暖房システムや産業用ボイラーのヒートポンプへの置き換え
(6)プラスチック廃棄物の回収、再利用、リサイクルの促進
(7)持続可能な燃料(廃食油を利用したバイオ燃料や合成燃料など)の供給拡大