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偽領収書を用意“B勘屋”とは…フォロワー47万人“インフルエンサー”脱税の手口

社会

人気インフルエンサーとして活動する宮崎麗果こと黒木麗香被告(37)は、所得を隠し、1億5700万円を脱税した罪などに問われ、在宅起訴されました。

インスタグラムのフォロワーは47万人。年商25億円を誇る実業家。そんな肩書きで紹介されることもあります。
4人の子どもを育てる母親としての姿も積極的に発信していました。

東京国税局の告発を受け、25日、東京地検特捜部によって、法人税法違反などの罪で在宅起訴された黒木被告。社長を務める広告会社『Solarie』も起訴されました。

特捜部によりますと、2021年、2023年、2024年1月期のあわせて3年間で、約4億9600万円の所得を隠し、法人税や消費税など、約1億5700万円を脱税した罪に問われています。

脱税を手助けしたとして在宅起訴されたのが、別会社の役員2人、北島義彦被告(52)と相羽友介被告(44)。
相羽被告は、いわゆる“B勘屋”と呼ばれる人物だとされています。

税務調査の現場では、本物の領収書を『A勘』、偽の領収書を『B勘』と隠語で呼ぶこともあります。取引があったかのように装うため、その偽物を用意するのがB勘屋です。

黒木被告は、面識のあった北島被告から相羽被告を紹介され、偽の領収書の作成を依頼。その領収書を使い、架空の業務委託費を計上することで、会社の所得を意図的に少なく見せていたといいます。

脱税額の一部は、ブランド品の購入などに充てられたとみられています。

事業を支えていたのが、インスタグラムによる広告の収益です。

黒木被告の会社は、美容関連会社などから委託を受け、インフルエンサーである社長自らが、インスタグラムに商品紹介の投稿をすることで広告料を得ていました。47万人というフォロワーの影響力が、そのまま収益に結びつくシステムです。

国内のSNSマーケティング市場、1兆2000億円のうち、インフルエンサーマーケティングは860億円。拡大の一途をたどっています。

Z世代にとってインフルエンサーは、いまや憧れの職業。その影響力の大きさが、別の形で問われることになりました。

在宅起訴を受けて黒木被告は、インスタグラムに深く反省しているといった趣旨の内容を投稿しています。

黒木被告
「今後につきましては、自身の責任と向き合い、誠実に対応してまいります」

◆今回、黒木被告は、何らかの仕事をしたように見せかけるため、架空の業務委託費を計上。B勘屋とされる相羽被告が、架空の領収書を作成したとみられています。

元東京国税局の佐藤弘幸税理士によりますと、多くの場合、架空の事業費を一度、B勘屋に支払い、そのうち何割かは報酬として渡し、残りは自分に還流する、いわゆる“キックバック”による脱税が多いといいます。

ただ、今回は、B勘屋とのお金のやりとりは判明していません。

佐藤さんは「B勘屋にも摘発のリスクがあるので、黒木被告からB勘屋に何らかの報酬は渡っているのではないか」とみていて、そのうえで「事業規模に比べ、脱税額は多くて悪質だ」と指摘します。

黒木被告は、脱税額の約1億5700万円の使い道として、ブランド品などの購入に充てていたとみられています。関係者によりますと、新たなブランド品を身に着けることで、インフルエンサーとしてのイメージをさらに上げて、フォロワー数の増加、そして、広告料収入につなげていた可能性があります。

国税関係者は、このように警鐘を鳴らしています。
「急増するインフルエンサーや動画配信者は、若くしてスマホ一台で大金を得てしまうことで、全員ではないが、納税意識の低い者も多い。申告漏れや所得隠しは、水面下でかなりあると見て、AIも活用しながら調査を続けていく」といいます。