3人が死亡した台北市の無差別殺傷事件。カメラが近づいた瞬間…バイクに乗った男性が倒れこみます。現場に居合わせ、救護活動を行った日本人ジャーナリストの男性は「首を切られていた」と当時の緊迫した状況を語りました。
■台湾無差別殺傷 発生当時の緊迫救護
「刃物を持った男が店の中に入りました。」
おととい19日、午後5時半ごろの台北市内。突然、白いジャンパーの男性がオートバイと共に倒れこみます。
手や上半身などは、血で染まっています。
(ジャーナリスト 木下黄太さん)「誰か(血を)抑えられる人いない?止血を。誰か呼んで止血をしないといけない。止血を、止血を、抑えて抑えて、誰か医療関係者いないの?布とかないの?布とか誰か出して」
台北駅周辺などで、男が次々と通行人に襲いかかった事件。3人が死亡し、負傷者は11人に上っています。
バイクに乗った男性も襲われ、首のあたりを刺されていたといいます。
(ジャーナリスト 木下黄太さん)「2人刺された人がいて、1人の人がバイクに乗っていた人なんですが、倒れこんで、僕しか人がいなかったので、ちょっと見て欲しいのですが、手が血で汚れているんですが、手で血を抑えたんですけど、血が止まらなくて、救急車が来るのが遅くて、おそらく意識を失った状態だったと思います。ジャーナリストとして伝えるもなにも目の前で人がそういう状態だったというだけです。」
■去年4月から“大規模な襲撃”計画か
台湾メディアによると凶行に及んだ男は、27歳で無職の張文容疑者です。
地元警察は21日、張文容疑者が去年4月から犯行を計画していたと発表。見つかった「犯行計画書」にはもっと大規模な襲撃計画が記されていたといいます。
男は犯行の2時間ほど前、オートバイで移動しながら台北市内の3カ所で次々と放火します。
午後4時53分には今年1月に借りたという自宅も放火。大量の火炎瓶を積んだカートを手に、歩いて現場に向かいました。
30分後の午後5時23分、最初の犯行現場となったのは台北駅の地下通路でした。ガスマスク姿で発煙弾を次々と投げ込みます。
台湾メディアによると、実はこのとき男の犯行を止めようとした男性がいましたが…逆に、男に刃物で刺されて死亡しました。
張文容疑者の犯行計画書には「駅で火炎瓶を投げて火災を起こし、混乱に乗じて通行人を刃物で襲う」などと書かれていましたが、火炎瓶に火をつけようとしたところ男性に止められ、誤って発火して使えなくなったため、さらなる大惨事には至らなかったといいます。
その後、男は台湾有数の繁華街で知られる中山区のホテルへ。用意していた火炎瓶23本は持たず、刃物や発煙弾を追加で持ち出します。
午後6時37分、ホテルの目の前で2度目の襲撃に及びました。
「通報して!早く通報して!」
直後の午後6時50分、百貨店の屋上から飛び降り、男は死亡しました。
地元警察によると、張文容疑者は幼い頃から銃などに興味を示していたといいます。
(警察の会見)「(張文容疑者は」2年以上、家族と連絡を取っていなかった。家族の話では、幼い頃から銃などの武器に興味があったようだ」
高校では、料理学科で学んでいたといいます。
(高校時代の同級生)「普段は存在感が薄い感じです。特に目立つ行動もなく、静かで人付き合いをしない人。その頃は普通な感じで良い子でした」
サバイバルゲームが趣味で様々な装備の研究に没頭していたという張文容疑者。
その後、空軍に所属しますが、当時の同僚は…
(空軍時代の同僚)「人望がなく、頻繁に問題を起こしていた」
3年前、飲酒運転を理由に除隊処分となった張文容疑者。その後、定期的に招集に応じる義務がある予備役でしたが、今年7月、招集に応じなかったため指名手配されていました。
動機は何だったのか?頼清徳総統は警察に対し、事件の徹底解明を指示しています。
12月21日『有働Times』より