“世界初”の肩書を持つチンパンジーが広島市内から東京へ引っ越します。旅立ちの瞬間に迫りました。
斉藤俊幸記者「今、チンパンジーのナナが入った箱が輸送車に乗せられます。およそ27年過ごした安佐動物公園を旅立ちます」
スタッフに惜しまれつつ見送られる輸送箱。広島を離れるのはチンパンジーのメス、ナナ26歳です。
1998年イギリス出身の父・フレッドとアフリカ出身の母・ナオコから生まれました。
実は自然に生まれたのではなく、急死した父の凍結精子で人工授精に成功し誕生しました。これは世界で初めての例です。
すくすくと成長しナナは園内の人気者に!1歳のころには誕生日会を実施し、ぶどうを食べてご満悦です。
チンパンジーの寿命は40歳ほど。ナナは妊娠経験はなく26歳を迎え、血のつながったチンパンジーはいないため貴重な存在です。
安佐動物公園 飼育技師 谷口伸広さん「希少な血統の持ち主なんですよね。だからぜひとも日本の国内ではナナの子どもが欲しいところなんですが、どうしてもうちではナナを繁殖させるようなことができなくって」
今後は東京の多摩動物公園へ。チンパンジーの飼育頭数が多いことと繁殖実績があることから引っ越します。
飼育担当 谷口伸広さん「手のかかる個体だったんで寂しい思いもありますけど、一番は無事に到着して向こうで元気に過ごしていただけたらなと。(ナナは)子どものチンパンジーと遊んであげるのが好きみたいで、自分に子どもができてもしっかり育ててくれるんじゃないかなと思っております」