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「“空気”が金でありそれが未来」ノーベル賞・京都大学の北川進氏が記念講演

国際

スウェーデンのストックホルムでは、ノーベルウィークが始まっています。

化学賞に選ばれた京都大学の北川進さんが、記念講演に臨みました。この日のために用意した特注品のネクタイを身に着けた北川さん。
受賞するきっかけとなった研究をモチーフにしたもので、化学構造式がデザインされています。

京都大学 北川進特別教授
「荘子曰く『人はみな有用の用を知るも、無用の用を知ることなきなり』。この考え方は、とても難解ですが、私の心に深く残りました。また、私は、京都で生まれ育ち、『無常』の概念をつづった古典に触れてきました。仏教の『諸行無常』の概念が、柔軟な“多孔性結晶”を生みました」

北川さんが開発した『多孔性材料』は、二酸化炭素の除去や、砂漠の空気から水を作り出すなどの活用が期待されています。

京都大学 北川進特別教授
「“黒い金”といえば、石炭と石油ですが、いまは“空気”が金であり、未来です。空気を活用する必要があるのです。空気は、小国にも均等に分け与えられています。未来にとって、とても重要なことです」

成功の秘訣について、尊敬するフランスの細菌学者、ルイ・パスツールの言葉を紹介したうえで、こう述べました。

京都大学 北川進特別教授
「パスツールは言いました『幸運は用意された心にのみ宿る』。偶然ではなく、探求心が科学の扉を開くのです」

北川さんは、日本時間11日未明に行われる授賞式に臨みます。