広島ホームテレビ

放送番組審議会

第558回

開催日:2026年9月15日(火)
【課題】
テレメンタリー2026 “軍国少女”と三八式歩兵銃
出席委員(敬称略):

井筒智彦、大井美恵子、稲田信司、奥田亜利沙、喜多村祐輔、木村文子、藤広 稔、宮崎園子

 

合評での意見

【総合批評】

  • 被爆の被害だけでなく加害の側面に着目した視点が新鮮で、8月6日の番組として意欲的な作品だった。被害と加害を一身に背負う切明さんの存在が番組の核となり、広島から発信する意義を感じた
  • 切明さんの語りや短歌が印象的で、重いテーマでありながら視聴者を引き込む構成となっていた。戦争への協力と被爆体験の両面を通して、戦争を多角的に考えさせる内容だった
  • 現代の安全保障環境や社会情勢と重ね合わせ、自分自身と戦争との関わりを考える契機となった。広島の人だけでなく全国の視聴者にも新たな視点を提示した
  • 被爆者の証言が失われつつある中、戦前の社会や軍都・廣島の歴史も含めて記録し伝えていく報道の役割を改めて認識させられた
  • 若い世代や大学生を登場させたことで、戦争体験の継承の難しさや世代間の認識の差が浮き彫りになり、今後の伝え方を考えさせられた

【批評ポイント①】
切明さんが“軍国少女”として生きてきた過去とその苦悩、なぜそれを伝え続けるのか十分に伝わったか

  • 「頭のてっぺんから足の先まで軍国少女」という言葉や短歌、自らを戦争協力者と表現する姿から、長年抱えてきた葛藤や自責の念が十分伝わった。病を抱えながらも語り続ける覚悟にも強い説得力があった
  • 被害者と加害者という二つの側面を持つ切明さんの存在が、戦争は突然始まるものではないというメッセージを伝えていた。広島でもあまり語られない視点を示した意義は大きかった
  • 病気と向き合いながらも被爆証言や戦争協力の経験を語り続ける姿から、限られた時間の中で後世へ伝えようとする使命感や覚悟が感じられた
  • 若い世代に十分伝わっていない現実に対する苦悩や徒労感について、さらに掘り下げてほしかった。大学生とのやり取りや、その反応を見た切明さんの思いをもう少し描いてほしかった

 
【批評ポイント②】
今の日本の社会を見つめなおすという問題提起ができていたか

  • 防衛力強化や安全保障を巡る議論が進む中、自分も知らず知らずのうちに戦争に加担する側になり得ることを考えさせられた。現代社会への問い掛けとして効果的だった
  • 軍都・廣島の歴史や被服支廠を題材に、戦前から現在までを線で捉える視点が示されていた。加害の歴史を忘れてはならないという問題提起は十分伝わった
  • 軍都・廣島から平和都市・広島へ至る経緯や被服支廠保存の過程、三八式歩兵銃が象徴する意味については説明が不足していた。加害性を理解するための歴史的背景をさらに知りたかった
  • 大学生と切明さんとの交流や、若い世代の受け止め方についてはさらに深掘りがほしかった。戦争や加害の歴史をどう継承していくのかがより明確になったと思われる

 

以上