広島に原爆が投下され、きょうで節目の80年。祈りに包まれた被爆地の1日を追いました。
毎年、夜明け前から始まる追悼の祈り。何年経っても変わらない思いがあります。
「おばあちゃん、お父さん、兄ちゃん来たよ」
1歳で被爆した中原里枝さん(81)は、毎年お参りをしているといいます。
「もう戦争がないように、1人1人の人間の気持ちはひとつ」
他にも多くの人が…。
「被爆80年になりますのでいろんな争いもあるので、恒久平和を祈って、二度とないように平和の祈りを捧げました」(70代女性)
「夫の父親や母親もみんな亡くなりました。(今も)皆さん苦しんでいらっしゃいます」(16歳で被爆した90代女性)
「もっと聞かないといけないと思っている。だんだん会話もできなくなってきている。それをやっぱり残していかないといけない。僕も子どもに伝えるとか、共有していかないといけないと思う」(40代男性)
80回目を迎えた「原爆の日」。
式典にはこれまでで最も多い120の国や地域が参列しました。
この中にはアメリカをはじめとした核保有国に加え、戦闘を続けるイスラエルやパレスチナなども含まれます。
原爆死没者名簿には、この1年で新たに4,940人の名前が記され、34万9,246人になりました。
広島市の松井一実市長は、平和宣言で「世界中で軍備増強の動きが加速しています。
各国の為政者の中ではこうした現状に強くとらわれ、自国を守るためには核兵器の保有もやむを得ないという考え方が強まりつつある」と指摘。その上で、「私たち市民は決してあきらめることなく、真に平和な世界の実現に向けて核兵器廃絶への思いを市民社会の総意にしていかなければなりません」と話しました。
また、こども代表の平和への誓いでは、「被爆から80年がたつ今、本当は辛くて、思い出したくない記憶を伝えてくださる被爆者の方々から、直接話を聞く機会は少なくなっています。どんなに時が流れても、あの悲劇を風化させず、記録として被爆者の声を次の世代へ語り継いでいく使命が、私たちにはあります」と呼びかけました。
あの日の出来事を学び、バトンをつなぐー。
全国こども平和サミットも開催され、全国から約1,200人の子どもたちが集まり平和への思いを発信しました。
沖縄の中学生「たくさんの犠牲になった命そして犠牲になった命を悲しむ人々その上に平和がある」
千葉の中学生「家族や友達を大切にすること。自分と違う考えを拒否するのではなく理解する努力や相手の立場を尊重する」
式典後、原爆慰霊碑にも長い列ができていました。
東京から来た女性「今は動画でしっかり言葉を残せる。AIとかもいろいろ発展しているのでなるべく今私たちが聞ける状態に近い状態を、このあとの後ろの世代に伝えていけるようになっていくといいのかなと」
原爆投下から80年。
被爆者の平均年齢は86歳を超え、今年初めて10万人を下回りました。
直接体験を聞くことが難しくなるなか、その言葉や記憶をつないでいかなければなりません。