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「飲みニケーション」は死語ですか?令和の繁華街で調査

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「ちょいといっぱいのつもりで飲んで~」と歌われたのは今や昔。「飲み"ニ"ケーション」なんて言葉も今や死語でしょうか。
若者の飲酒習慣の減少による「酒離れ」が進んでいると言われている昨今。お酒は飲まずにバーに通う男性や1人で自宅飲みはほとんどないという若者も。

コロナ禍を経て、様変わりしつつある「令和の繁華街」。酒を提供する社長は、「我々がビールに対する思いを(伝えるのを)この50年間怠ってしまったのでお客さまがビールから離れていったのが私の答え」と語ります。

出会いと別れの季節。
ほとんど飲めない記者が夜の街で、若者の酒離れの現状について調べました。


■飲酒習慣 10年間で男女ともに半分以下に
若者の間で減っていると言われる飲酒習慣。
ほとんどお酒の飲めない社会人2年目の記者(24)が、夜の街で聞いてみると…

「おいしくないなと、これ飲んでる人が信じられないみたいな感じでした」
「家で1人で飲んだりとかは全然してないです」
「苦いからあんまり得意ではなくて、ビールとか飲めない」
「友達と一緒にご飯食べても、お酒飲まなくて良いよねとなることも多い」

厚生労働省の調査では、「週3日以上、1日1合以上飲酒する(1合はビールやチューハイではロング缶1本程度)」習慣がある20代は、男女とも減少傾向。10年間で男性はおよそ3分の1、女性も半分となっています。


■「50年間怠ってしまったので、ビールから離れていった」
1980年代には、まだ明るいうちからビルの屋上でおいしそうにビールを飲む若者の姿がありました。
ビールスタンドを経営する重富商店の重富寛社長は、当時をこう振り返ります。

「とりあえずビールで始まって1次会で終わることはなかったですね。今思えば、その時にいろんな意味での人間関係が構築された時間だったなとは思いますね」。
現在、2つのサーバーを使い分け、5種類の生ビールを提供する“ビール注ぎの達人”で有名な重富社長。営業時間は午後5時からの2時間だけにも関わらず、店内には、至福の一杯を求める客の中には若者の姿も目立ち、“酒離れ”が起こっているようには見えません。
ただ、ビールの卸しも行う重富さんの受け止めは、楽観的なものではありませんでした。

「(居酒屋などに卸すビールの量は)一時期(30、40年前)と比べると半減はしていると思う。我々がビールに対する思いを(伝えるのを)この50年間怠ってしまったのでお客さまがビールから離れていったのが私の答えです」。


■変化しつつある「飲み"ニ"ケーション」
流川に店を構える南国テイストのバー「Backpacker’s BAR CAMEL」。
お酒を飲む人ばかりかと思いきや、お酒を飲んだことがないという男性も…。

「数年通っているんですけど僕はジンジャーエール。お酒を求めるというよりも、人とのコミュニケーションを求めてきている。生まれてこのかた、飲まないといけないというのは全く思ったことはない」。

また、別の男性客は、コロナ禍でセオリーが無くなったといいます。

「コロナ前はみんなとりあえずビールだったけど、会社で飲み会する時もビールを3人頼んだら、あとは好きなものを頼む人が多い飲み会になった。実際お酒飲んだら楽しいとかではなくて、(テンションが)下がる人がいっぱいいる」。

秦祐弥店長もバーテンダーですが、お酒は味見をする程度。

秦店長「お酒って結局、話を円滑にする“ツール”みたいなものだと思う。別にお酒を飲まなくても(バーテンダーが)話をふって、いろいろな人との縁ができればそれは素敵なことだと思う」。

お酒を飲む場所というイメージが強いバーですが、同じ時間を共有するお客さんがいれば、若者が酒から離れても悪いとは思っていないと、秦さんはいいます。

秦店長「お酒は飲まない人は、お酒からは離れているけど、それ以外の素敵な楽しいことを見つけたというだけなので」。

飲む人と飲まない人の双方が楽しめるお酒の場。
若者の間でお酒の認識が少しずつ変わってきた今、「飲み"ニ"ケーション」の捉え方も変わりつつあるようです。