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公約は「スタバの誘致」 広島・海田町で話題の43歳新人町長に密着

広島

広島県南西部に位置する海田町。11月の町長選挙で当選したのは、政治経験ゼロ・元広島市職員という経歴を持つ43歳でした。
選挙で掲げた公約は「スターバックスコーヒーの誘致」。
新人町長、初めての議会に密着しました。

■“政治経験ゼロ”新人町長議会デビューの朝
11月21日、海田町役場の朝。
“新人町長がはじめて議会に挑む日”ということもあり、庁舎内はざわついていました。

海田町の竹野内啓佑町長(43)。
選挙では「スターバックスの誘致」を公約に掲げ、海田町歴代最年少の若さで当選を果たしました。
元広島市の職員で、政治経験はゼロですが、今は海田町の重責を担う異色の町長です。

議会がはじまる30分前。
記者「緊張はしていますか?」
竹野内町長「慣れない仕事が多くて。私、2ヶ月半前まで行政職員の立場だったので。少し戸惑っているところはあります…」

竹野内町長が掲げる公約は、「スターバックスの誘致」のほか、「1日中楽しめる滞在型“新図書館”の建設」、「紙おむつや給食費、18歳以下の医療費の無償化」など。
どれもそう簡単に実現できるものではありません。

「一足飛びにすべてを実現というのはなかなかハードルが高いので、できるところから着実かつ確実に、煮詰めたものを議会に提案していく。そういうプロセスを大事にしていきたい」と話す竹野内町長。
実現するために避けて通れないのが、諸先輩方が待ち受ける海田町の議会です。

議会がはじまる10分前、議員が待つ議会へと向かう竹野内町長。
議員たちの目の前で焦ってしまったのか、席の位置を間違ったかのような場面もありましたが、午前9時、臨時会が始まりました。

初めての議会での竹野内町長の印象はよかったか他の議員に聞いてみると、「今日のところは、まぁよかった」とのこと。
議会デビューはまずまずだったようです。

■初登庁から4日目 職員への挨拶回りも
9月に移転したばかりの海田町役場で、竹野内町長が次に向かったのは職員たちが働くフロア。この日は初登庁からまだ4日目で、職員の顔と名前を覚えるために時間が空くと挨拶回りをしていました。役場の職員とは、ほぼ初対面という状況。
教育長に町長の印象を聞いてみると、「感性豊かな方だと思います」という答えが。
これには町長も「なるほど…もうちょっと喜怒哀楽を出していかないと。今ずっと緊張しっぱなしで感情が飛んでいるので」と苦笑い。

■「敗戦の弁も考えた」 それでも家族でつかみ取った選挙戦の勝利
町長室に戻ってのランチタイムに持参していたのは、妻・美保さん(44)が作ってくれたお弁当。
「共働きなので、育児がワンオペ化しているのかなというところが非常に申し訳なくて…。ちょっと余裕ができたら料理とか取り組んでいきたいなとずっと言い続けているけどできていない…」と語る町長。

選挙戦を共に戦った妻とは、一緒に天国と地獄を味わったそう。開票日には、マスコミが違う陣営に集まっているという情報を聞き、敗戦の弁も考えていたとか。
美保さんも「もうダメだという感じになっていて、声をかけるような雰囲気でもなかった…」と当時の様子を語りました。

妻のサポートがあったからこそ勝ち取った選挙戦の勝利。家族でつかみ取った結果でした。

■公約“スタバ誘致”の真意
選挙戦で公約に掲げた「スターバックスの誘致」について、竹野内町長は、その真意をこう話します。
「海田町の課題として、気軽に集えるような場所があまりに不足している。仕事場と家庭の往復だけではなく、第3の場所であるスターバックスのようなところを誘致することによって気軽にくつろげるような場所をしっかり環境として整えていきたい」。

■天を仰ぐ場面も…質問が相次いだ議会
スターバックスの誘致については、12月4日に行われた海田町の議会でも質問がありました。

多田雄一議員「1番に聞かれるのがスターバックスはいつできるかということ。スターバックスについてはいかがですか?」
竹野内町長「スターバックスが実際に誘致できるかどうかは私自身がトップセールスでぜひやっていきたいと思っているが、これは何ぶん企業が収益にできるかのジャッジの問題。
まずは海田町の魅力を整理してポテンシャルをスターバックス等の企業に伝えられるよう内部で検討・整理していきたい」

竹野内町長が選挙で公約に掲げた“「10年後、誰もが憧れるまち」へ 暮らし満足度No.1”については、厳しい質問も。

佐中十九昭議員「10年後にはうんぬんと言っているが、防災のことについてはまったく(言及が)無い。町長になったばかりなので実態もわからないし。基本方針として(暮らし満足度)No.1で行くのか?」
竹野内町長「この町に住み続けて良かったと、1番だという思いで生活していただけるよう政策を展開していきたいと考えている。優先順位をつけながら予算配分をしていく」

思わず天を仰いでいた時は、「どういう気持ちで質問をされているのか自分の中で咀嚼・思案していた」という竹野内町長。

果たして「スターバックス誘致」は実現できるのか?新人町長の奮闘はまだまだ続きます。