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2000円台の備蓄米 どこで販売? 随意契約に19社が名乗り

経済

 政府備蓄米の随意契約に19の業者が名乗りを挙げたことが分かりました。どんな業者が申し込み、いつごろから買うことができるのでしょうか。

■随意契約に19社が名乗り

 高止まりが続くコメの価格。ですが、こうした売り場にもうすぐ“2000円台のコメ”が並ぶかもしれません。

小泉進次郎農林水産大臣(44)
「備蓄米の早期販売や米価の安定を図るため、4回目の備蓄米の放出について随意契約によるものとし、申請の受け付けをきのうから開始したところであります」

 ついに始まった「備蓄米」の随意契約。2022年産と2021年産の備蓄米、合わせて30万トンを大手小売業者を対象に売り渡すとしています。

 では、その備蓄米、「いつ」「どの店」で買えるのでしょうか。

小泉進次郎農水大臣
「大手小売りの方々に、まずは手を挙げていただきたい」

 26日、こう呼び掛けていた小泉大臣。早速、手を挙げる事業者が相次ぎました。

 農水省によりますと、27日午前9時時点で備蓄米の随意契約を申し込んだ事業者は19社に上ります。その数量は合わせて9万トンを超えました。

小泉進次郎農水大臣
「ふたを開けてみたら24時間経たないうちに9万トン。かなり順調に、これからも大手小売りさん、名乗りを上げるところも出てくると思う」

 手を挙げた事業者の一つが全国に約500店舗を展開する総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」です。

 農水省に備蓄米1万5000トンの売り渡しを申し込んだという運営会社。5キロに換算すると300万袋の計算です。

ドン・キホーテ運営会社 PPIH 初山俊也常務執行役員
「2000円台には普通になると思いますけどね」

 入荷すれば店の特徴である“ポップ”に「備蓄米」と表記するそうで、グループの全国の店舗で販売予定です。

60代の人
「いいと思いますね。安いコメを求めている人は喜ぶと思う」

70代の人
「どんなものか味わってみて、良ければそれ(備蓄米)でいいと思う」

 店頭に並ぶ時期については…。

PPIH(ドン・キホーテ運営会社)
「最短で販売するため進めております。購入制限を設けることになるかと思いますが、詳細は検討中です」

 ネット通販を予定している事業者もいます。例えば、備蓄米1万トンを申し込んだ「楽天」です。

 23日、小泉大臣と面会した楽天の三木谷会長。すでに随意契約に意欲を示していました。

楽天 三木谷浩史会長
「(販売の)開始は、すぐにでもできるかなと。ネットだからこそスピーディーにできる。お届けは2週間後になるけど今から予約できますよということもできると思っているので、様々な形で対応していきたいと思っている」

 生活用品メーカー「アイリスオーヤマ」も備蓄米1万トンを購入し、グループのホームセンターやネット通販での販売を目指しています。小泉農水大臣と面会した社長は…。

アイリスオーヤマ 大山晃弘社長
「我々としても非常にチャンスだと思っている。6月2日に5キロ2000円、税抜きで販売するという予定」

 27日午後、農水省との契約が完了したことを明かしました。

 他にもドラッグストアチェーンの「サンドラッグ」やディスカウントスーパーの「オーケー」、すき家などの外食の他に小売り事業も持つ「ゼンショー」なども名乗りを上げています。

 この動きはコンビニ店にも波及。取材では「ファミリーマート」も備蓄米の随意契約に申し込むことが分かりました。5キロといった単位ではなく「1キロ税別400円」にする考えで、6月上旬の販売を目指します。

小泉進次郎農水大臣
「早い事業者とは、きょう、もしくはあした随意契約完了、あさって29日にも備蓄米の引き渡し。6月の1週目に店頭に並ぶめどが見えてきた」

 “5キロ2000円台の備蓄米を6月上旬に並べる”。その目標が現実味を帯びてきたわけですが、これにより、店頭には“3つの価格帯のコメ”が並ぶ可能性が出てきました。

 小泉農水大臣の説明では…。

小泉進次郎農水大臣
「これから店頭の中で、備蓄米ではない一般的な銘柄米の価格と、今まで3回の一般競争入札により放出された備蓄米がブレンドなどをされて結果として流通している価格のものと、そして今回これから6月以降、2000円のラインで放出され棚に並んでいく安い備蓄米、複数の選択肢を消費者の皆さんに提供できる、そんな棚になるのではないかと」

 より“新しいコメ”を取るのか、“安いコメ”を取るのか。消費者はどう考えているのでしょうか。

80代の人
「銘柄を買っています。おいしいのを食べたいから」
「(Q.銘柄米を買い続ける?)銘柄を買います。家族が少ないから、2人でね、1合炊いたら2日ぐらいあるから。やっぱりおいしいのを食べたいから、高くても魚沼産のコシヒカリとか、そういうのを買います。(備蓄米は)おいしいかな、どうかなと思って」

30代の人
「安かったら、すぐにでも買います。ずっと高いので、もう諦めている。いつも食べているものが安く買えるなら、その価格であれば買う」
「今まで通り銘柄米を買っちゃう気がする。(備蓄米は)安い、半額ぐらいだなと思うけど、おいしいのかなっていう不安はちょっとある。5キロじゃなくて2キロぐらいで一度買ってみて、おいしかったら買う」

50代の人
「(備蓄米を)1回買ってみて、味を見てもいいかなと思う。今まで何で出すことができなかったんだろうと」

■2000円台の備蓄米 どこで販売?

 一方で、その選択ができるのは、あくまで今回、備蓄米を購入できる「大手小売業者」の店だけです。

 朝、大阪市のスーパーに並んだのは、これまでの「競争入札」によって落札され、回ってきた備蓄米です。

 コメ売り場で品定めする客。5キロ約3900円の備蓄米を時間をかけて悩んだ末、購入しました。

“競争入札での備蓄米”を購入した人
「その2000円(の備蓄米)も本当に出るか分からないし、とりあえず買っておこうかなと」

 今回、放出される備蓄米から随意契約に代わり、売り渡しの対象は年間1万トン以上の取扱数量がある大手小売業者に限定されました。

小泉進次郎農水大臣
「精米能力やパッケージングや、このスピード感を持って対応できる能力は、まずは大手の小売りさん」

 小泉農水大臣はこう意図を明かしていますが、裏を返せば中小の小売業者や、いわゆる「町の精米店」には“2000円台の備蓄米”が回ってこないことになります。

フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長
「大手を使って広く全国に行き渡らせるのは当然の方策だと思いますけど、私たち中小スーパーが置き去りにされていますので、その辺りをどういう形で今後、対応していくのかは注視している」

 まだまだ、課題は山積みのようです。

小泉進次郎農水大臣
「町の米屋さんなど小さな商店さん、スーパーさん、こういった所にきめ細かく、どのように届けるのかというのが私が次やらなければいけないことだと思っているので、この1週間まずやってみるじゃなくて、1週間待たないで随意契約の形を変えることも含めて考える」