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小麦高騰の救世主に?農水省が米粉営業“コメニ”結成 「東京ばな奈」への商談に密着

経済

 異常気象などによる不作と円安の影響で、オレンジジュースが販売休止や値上げに追い込まれ、国産みかんで代用する動きがあります。さらに、輸入品の代替として脚光を浴びているのが「米粉」です。番組では、農水省の「米粉営業チーム」に同行取材。米粉が持つ無限の可能性とは?

■過去最多「パン屋さん」倒産…深刻な小麦高騰

山田寛明ディレクター
「食品の国産回帰が進む中、注目を浴びているものがあります。田植えのシーズンを迎えたお米を使った米粉です」

 ウクライナ情勢や円安などを背景に輸入小麦価格の高騰が続いていて、昨年度は「パン屋」の倒産件数が過去最多となるなど、影響が広がっています。

 そうしたなか、小麦粉に代わる原料として「米粉」が注目されているのです。主食用のコメの需要量が年々減少している一方、グルテンフリー食材としての関心が高まったこともあり、米粉に使うコメの需要量は増加傾向にあります。

■「米粉営業は私たちが」その名も“コメニ”

 国産米粉の活用を後押ししようと始まったのが、農林水産省が立ち上げた米粉利用拡大プロジェクトチーム。職員の有志11人で結成されたチームで、企業などに米粉の利用を提案する営業活動が主な業務です。

 親しみを持ってもらおうと名付けられたチームの愛称は、「米粉営業第二課・コメニ」。かつての人気テレビドラマからヒントを得たといいます。インパクト抜群のチーム名もあってか、早速手応えを感じているようです。

農水省 米粉営業第二課「コメニ」 中島絵里子課長
「小麦の代金が年々上がっている中で、これまでよりも(米粉と小麦粉の)価格差が減ってきているので、そういう意味で皆さんの中で米粉に対して関心の高まりというのは感じますね」

■“定番土産”に営業も…米粉商品開発の難しさ

 先月、コメニのメンバーが営業に向かったのは…。

農水省 米粉営業第二課「コメニ」 関口美穂さん
「よろしくお願いいたします。『東京ばな奈』の米粉を使った商品ができたということで…」

 東京土産の定番「東京ばな奈」などを手がける会社「グレープストーン」です。実は、米粉を使った商品は2004年から発売していて、主力である「東京ばな奈」でも米粉を使った商品を販売しています。

 それに目を付けたコメニが、「さらなる米粉商品の展開を」と売り込みに訪れたのです。

農水省 米粉営業第二課「コメニ」 関口美穂さん
「米粉の特徴を生かした商品の開発・製造に必要な補助をやらせていただいておりますので」

 国の支援事業も追い風となり、様々な企業が商品開発に乗り出している米粉。ただ、米粉と小麦粉には様々な性質の違いがあります。米粉を使った商品の開発は、一筋縄では行かないようです。

グレープストーン 山崎勝也生産本部長
「混合条件、あと道具ですね、例えば材料の材質を変えるなどして、100点満点ではないですけども、どうにか商品化に至ったという経緯。米粉の良さだとか品種だとか、いろんな情報をいただきながら、積極的に開発できる商品は数多く開発していきたいと考えています」

 米粉を使った「東京ばな奈」、気になるのはそのお味。ゴールデンウィークでにぎわう東京駅で、お客さんに食べてもらうと…。

東京駅の利用客
「もちもちしています。口に入れた感じは柔らかくて、優しい感じがします。個人的にこっち(米粉)の方が好きです」

■「お米っていいよね!」米粉拡大に農家は期待

 こうした米粉の利用拡大に向けた取り組みに大きな期待を寄せているのが、コメの生産者です。

稲作本店 井上敬二朗代表
「活用いただいたりすることで魅力が広がっていくと思うので、農家としてもすごくうれしいですね」

 関東有数の米どころ・栃木県のコメ農家、井上敬二朗さん。自家栽培のコメから米粉を作っていて、その米粉を使ったカヌレも人気を集めています。

稲作本店 井上敬二朗代表
「今の世界情勢も非常に不安定になってきていますし、そういった中で、日本で作れるものは日本でというような気持ちは農家として強く持っています。いろんなニーズに合わせた商品を増やしていくことで、お米っていいよねと思ってもらえる機会を増やしていきたいと思っています」

(「サンデーLIVE!!」2024年5月5日放送分より)