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専門家「クマと人の生活圏に緩衝が必要」広島市でわなにクマ 対策は

広島

29日午前8時半ごろ、広島市安佐南区沼田町阿戸で「わなにクマがかかっている」と警察に通報がありました。

第一発見者の男性は朝、ネコにエサやりをしていると異変に気付いたといいます。

第一発見者の男性「音がしていた。カタカタ、何の音だろうと山に上がってきたら(わなの)シャッターが落ちていた。牙をむいて檻にかみついてきた」

安佐南区によりますと、捕獲されたのは体長150cm、64kgの大人のツキノワグマ。

この地域では26日からクマとみられる痕跡が確認されていたことから28日、クマ専用のわなを設置。わずか1日での捕獲となりました。

区は、このクマが先週ごろから何度も出没することから、周辺住民の安全面を考慮し殺処分したということです。

阿戸下町内会 内藤正芳会長「捕まったかとひと安心したが、地域であんまりウロウロしてほしくないので、地域で対策を考えないといけない」

全国的に相次ぐクマの目撃情報。

広島県によりますと、今年度は9月末までの半年で、すでに293件確認されているということです。

人間の生活エリアに活動を広げるクマ、専門家は。

広島修道大学 人間環境学部 奥田圭教授「どこでも出ると思って行動していくことが、人間に求められていることだと思う」

広島修道大学で野生動物の生態と管理を研究する奥田圭教授は、クマの行動の変化には「季節が関係する」と話します。

広島修道大学 人間環境学部 奥田圭教授「今の時期というのはクマが冬眠に入っていくので、たくさん食料を食べたい時期。なので行動の範囲を広げて活動する形になるので住宅近くまで出てきてしまう」

2021年に安佐南区の山林でクマの姿が撮影されたのは4回ほどですが、去年は約10回にのぼり倍以上になっています。

奥田教授は、出没の原因の一つにクマと人間の生活圏が近くなっていることを指摘します

広島修道大学 人間環境学部 奥田圭教授「広島はまさに人間の生活エリアと山が本当に近い。クマの生息エリアと、人間の生活圏に農業地帯があって、そこがバッファ(緩衝)となって動物が入ってきにくい環境を作っていくことが求められている」