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”受け入れ困難”過去最多…救急医療の現場はいま 広島

広島

感染者の急増で県内の医療の現場でも救急搬送の受け入れが難しくなるケースが起きています。現役の救急救命医に現状を聴きました。

広島大学病院 高度救命救急センター木田佳子医師「医療崩壊とまでは言いませんが、異常なことが起こりつつあるかなと」

そう話すのは広島大学病院の救急救命医。

広大病院では先週の土日に一日20~30件の救急患者を受け入れました。

木田佳子医師「1月は通常でも救急搬送が多い時期なので、その影響が一緒になってるのとコロナで他の病院が受け入れられないのが一番多くて、他の病院に断られて行き先がなくて来るパターンで増えているかなと思います」

広島市消防局のまとめによると消防局が医療機関に4回以上受け入れを交渉し現場に30分以上とどまった「救急搬送困難事案」は23日までの一週間に72件。

年末から急増し、(昨年12月20~26日は30件、26日~1月2日は60件、1月3~9日は79件、1月10~16日は80件)10日からの1週間は80件とそれまで最多だった「第3波」のピーク時(2020年12月14~20日の61件)より3割も多くなっています。

木田佳子医師「多ければ15件断られてだめで、最後に大学病院に(電話を)かけてくるということも直近ではありました。長かったら(救急車が)3、4時間現場に停まっていたりすることはあるので、そういう症例が増えている」

コロナの重症患者や救急搬送患者の診療に最前線で当たってきましたが、重症化しにくいオミクロン株ではこれまでとの違いを感じているといいます。

坪山奏子アナウンサー「コロナ患者が家で療養中に悪化して、救急車呼びましたという件はあるのですか?」

木田佳子医師「第5波のときは件数が多くてしかも来てみるとすごく重い。第6波もあるのはあるけどどちらかというと不安からだったり、症状としては比較的軽い」

入院患者は日々増え続けていますが、(24日時点 重傷者5人 中等症78人)救急搬送が難しい事態になっているのは病床数の不足が理由ではありません。

木田佳子医師「こういう(感染拡大の)状況になるとただの外傷でもちょっと熱があるとか家族にもちょっと熱があるとか、ちょっと前に咳が出てたとか病状に関係ない少しの(コロナ疑いの)症状があるだけで受け入れが難しい病院がでてくる。職員が家族の濃厚接触者になったり自身も感染したりして休まざるをえなかったり、お子さんの保育園の休園がかなり多くて、預け先がなくてお休みせざるを得ない人が増えてマンパワー不足で病棟自体をを閉めざるをえない。救急搬送患者の受け入れができないというのがかなり多い」

広大病院では、今はなんとか普段と同じ体制をとれていますが、職員の人数が減ったときのシミュレーションは常に行っているといいます。

木田佳子医師「(広大病院では)院内感染は起きていない、きちっとやっている。仕事上気を付けながら日々やっている中でどうしても家庭からもらうのは防ぎようがない。私も子どもがいるので、いつ(ウイルス)を持って帰るかわからずドキドキしている」

医療従事者もいつ働けなくなるかという不安をかかえながら闘う第6波。

感染者がこのまま増え続けると、救急医療にも大きな影響があるといいます。

木田佳子医師「事故だったり、心筋梗塞とか内科的な疾患だったりしても今は広島市内は少なくともギリギリ運用できてはいますが、最悪緊急度の高い疾患の方が病院にいけない、現場で亡くなる可能性はゼロではないとは思いますね」