東大前駅での切り付け事件、「親から教育虐待を受けた」戸田容疑者は事件の背景について、こう供述しています。番組では知人や同級生らを独自取材すると「司法試験に何度も落ちていた」「木刀を持って暴れていた」という証言が出てきました。
■独自「木刀振り回し補導」地元の知人証言
(戸田容疑者を10代から知る人)「25~26年前にここの2階に住んでいたから。」
戸田佳孝容疑者が以前住んでいた名古屋市。10代の頃から容疑者を知る男性は、当時のことをこう振り返ります。
(戸田容疑者を10代から知る人)「本当に無口でおとなしい人」
その一方で…
「ここで木刀振り回して、奇声をあげて、一回補導されたこともあった。通報されて」
■「司法試験落ちた」地元の知人証言
さらにこんな話も…
「高校卒業してから司法試験、何か弁護士を受けると言って、司法試験何回も落ちたっていう話は聞いたけど…」
男性は事件の3日ほど前に、階段の下に止められた自転車を見つけました。
「戸田って書いてあったから、見たら長野警察の防犯登録になっている。」
確かに、戸田容疑者の現住所がある長野県警の防犯登録がはられ、「戸田」という名前が手書きで書かれていました。
「多分、日曜日の夜はなかったから」
Q.事件前のってことですよね?
「そうそう、日曜の夜から水曜(事件当日)の朝の間だよね。たぶん自分で乗ってきたのかな…」
戸田容疑者が事件前に、名古屋を訪れていたとしたら、それは何故なのか…
■「中学生で教育虐待」当時の友人は?
7日水曜日に東大前駅で男性を切りつけたとして逮捕された戸田容疑者。
(中学時代の同級生)「そういう人を傷つけるようなことをする子とは思わなかったので、どちらかというと変なことは言っていたけど優しい。別に女子に対して何かいじめだとか、そういうのもするような子ではなかったので、どちらかというとおとなしい…」
戸田容疑者の中学校時代の同級生は、当時の印象をこう話します。
(中学時代の同級生)「本当に存在が薄いと言いますか、友達でつるむっていうことはなく、常に1人が多かった人。おとなしくって…帰宅部な感じ。どちらかというとこもっている感じなので、スポーツとは無縁な感じでしたね。」
別の同級生も…
(中学時代の同級生)「1人で教室で太極拳か何か、いろんなポーズをとってやっているのを見た。なんか部屋ではずっとやってるイメージがすごいあって。」
Q.誰かとやっているわけではない?
「1人でやっていたんで…」
中学校時代に親から教育虐待を受けたと供述している戸田容疑者。東大前駅での犯行の理由について…
(戸田容疑者の供述)「教育熱心な親のせいで不登校になり苦労した。東大を目指す教育熱心な世間の親たちに、あまり度が過ぎると子どもがグレて、私のように犯罪を犯すということを世間に示したかった。」
(中学時代の同級生)「すごい目立つ不登校っていう感じではなかったと思います。休むっていうのはあったかもしれないですけど、もう半年も来てないよねとか、3カ月来てないよねっていう印象はなかったので。」
Q.勉強については何か印象としてあります?
「できなくはなかったと思いますね。同じ時期を過ごしたんですけど、本当に高校もどこに行ったとかいうのも分からないので、話も聞いたことないですし…」
■小学生の当時「点数悪いと叱られた」
一方、小学校時代を知る同級生に話を聞くと、少し印象が違います。
(小学時代の同級生)「人がちょっと嫌がるようなことをやっていたことがあったかなと。唾をかけるとか、ちょっと面白がってさらにやるみたいな。明るいタイプではあったんで、いじめっ子というよりかは、多分注目を浴びたかったんじゃないですかね」
戸田容疑者の小学校の卒業文集。「今までのざんげ」としながら、同級生の言う通り、こんなくだりも…
さらに、「勉強なんか、やるものか。」「宿題なんか絶対やるものか」の文言も…
(小学時代の同級生)「多分本人のことだと思うんですけども、オラが一番偉いぞ、ブーンってハエがたかっているっていう感じですよね。内容もちょっと変わった内容になってますよね。」
Q.こういうことを普段結構言っていたんですか?
「そうですね。こういうことを言っていたと思います。」
Q.中学校の時も変わらない感じだった?
「多少はおとなしくなっていたと思うんですよね。中学校になってあまり接点が少なくなったと思うので、いつから不登校になったかどうかも分からないですし」
戸田容疑者は警視庁に対し、「小学生の時にはテストの点数が悪いと親から叱られた」と話していると言います。
■「生活立ち行かない」長野での生活
長野県の山あいにある生坂村。
(福田剛士ディレクター)「村の中心部から車で10分ほどのこちらの場所に戸田容疑者は事件直前まで暮らしていたということです。」
村の空き家バンクを利用し、3年ほど前から、この家で暮らし始めたと言います。
(福田剛士ディレクター)「車庫には軽トラックが置かれています。しかしその前には雑然と物が置かれていて、すぐには出せない状況です。」
(戸田容疑者を知る人)「車運転するの怖いって言っていた。だから、いやだ(運転)やめたって言っていたみたいな。最初は馬が飼いたいって言っていたの。仕事もしながらだったから大変だろうなと思っていて、 私はIT関係と聞いていたから、それで在宅で仕事しているっていうことを言っていたので、歩いているのを見かけて話しかけたら『いや、散歩しているだけですよ』みたいに言ったけど、その時の雰囲気が、ちょっと暗い感じがした。4月になってから。」
Q.暗かった?
「うん、暗い感じでした。」
「経済的要因で生活が立ち行かなくなった」と供述している戸田容疑者。
事件当日、長野県から電車で上京。犯行の約3時間前には…
(戸田容疑者の供述)「東京大学の構内で散策していた。食堂で食事をとった。」
午後4時5分ごろに本郷三丁目駅を出た戸田容疑者、東京大学のキャンパスに立ち入ったのが午後4時30分ごろ。その後、午後5時50分ごろに東京大学から出てくるのが防犯カメラなどで確認されています。犯行場所に東大前駅を選んだ理由について…
(戸田容疑者の供述)「名前に東大とついており、世間の人たちが教育虐待を連想しやすいと思ったから。たまたまこの男性が近くにいたので狙った。世間に自分の考えを示すことができれば相手が死んでも死ななくてもどちらでもよかった。」
無差別に乗客を襲ったとみられる戸田容疑者。
■犯行時駅で何が?複数カメラ検証
実際に私たちが異常事態に直面した場合、どうしたらいいのか。事件が起きたのは、7日の午後6時53分のことでした。直後に撮影された映像では、警報音が鳴り響く中、乗客が車両から降りて、避難を始める様子が映っています。
(乗客)「何が起こっているの?不審者?不審者ですか?」
乗客の多くが、何が起きたか把握できないまま、階段をあがり、改札へと向かっているようです。
事件発生25分後、午後7時18分の改札前では、人々の間を、警察官が慌ただしく走る様子も。それもそのはず。この1分後に、改札内で撮影された映像には、警察官に連行される戸田容疑者の姿がありました。
「自分で歩け。自分で歩け。立って。」
午後7時22分、事件現場となったホームでは、救急隊員によるけが人の治療が続いていました。床には、生々しい血痕が残っていて、すぐ近くには、凶器とみられる包丁も落ちています。その脇をストレッチャーに乗せられ、搬送される人も。頭には包帯が巻かれています。今回の事件では、20歳の大学生が電車に乗ろうとした際に、包丁で切り付けられ、首の後ろや額などに約10日間の入院が必要なけがをしました。
(戸田容疑者の供述)「電車が到着したタイミングで事件を起こせば、電車が長く止まることになり、世間に与える影響力が大きいと考えた。狭いところなら逃げられないだろうと思った。」
5月11日『有働Times』より