♠ スピンオフSP2｢崖っぷちな女｣

裕子の部屋で､気だるそうにギターを鳴らすリュウジ｡2人は恋人同士だ｡
｢今日･･･事務所に呼ばれてるんじゃなかった？｣
｢ああ・・・うん｡｣
駆け出しミュージシャンのリュウジにとって､メジャーデビューが決まるかどうかの大切な日だった｡

｢決まれば､向こうから電話来るだろ･･･｡｣
｢そう言う態度良くないと思うよ｡
メジャーデビューできるかどうかの大事な時なんでしょ？｣
｢うるせえなぁ｡メジャー､メジャーって･･･｡｣

うつむく裕子｡
そっと後ろから抱きしめるリュウジ｡
｢俺も今が正念場って分かってんだよ｡イライラしてごめんな｡｣
2人は熱い口づけを交わす｡

そこに､裕子の同級生・ミエから同窓会への催促の電話がかかってきた｡
アラフォー独り身世代にとって同窓会は大切な場だと説得するミエ｡
裕子は､同窓会に出席していいかどうか､遠慮がちにリュウジに訪ねた｡

｢じゃあ､絶対に日付変わるまでに帰って来いよ！｣
渋々了承したリュウジ｡
裕子は､同窓会に出席することとなった｡

・・・・・

同窓会に出席したアラフォー独身の裕子｡そこで待っていたのは､中島だった｡
｢あ～～～！中島と肥後～？オジサンになったねぇ～｡｣
｢お前らもオバサンじゃねぇか！(笑)｣
当時の面影も残っていない同窓会でよくある風景｡卑屈になる裕子｡
そこに中島は､強く握った拳を差し出した｡
｢自信持てよ｡｣
そう､高校時代のあの時も､中島は裕子をグータッチで励ましていた｡

裕子には､高校時代を振り返ったときに､引っかかることがあった｡
それは放課後に､中島から呼び出された現場に行かなかったこと｡
｢ロケット公園で待ってる｣
あの時､中島は裕子に何を伝えたかったのだろうか・・・｡

同窓会も散会し､酔いが回ってベンチで休む裕子と中島｡
タクシーもなかなか捕まらないため､2人は歩くことにした｡
そこで､高校時代の思い出話に花が咲く｡
｢なあ？覚えてる？ロケット公園｡あそこ､ラッコの絵が書いてあったじゃろ？｣
｢セイウチの絵でしょ？｣
｢いやいや､ラッコだよ｡よしじゃあ､今から見に行こう！裕子！
もし､俺の言ってることが正しかったら･･･あの時の続きさせてもらえないかな？｣

戸惑う裕子｡高校時代の続きをしたい中島｡
日付が変わるまでに返ってこいと言われた裕子の彼氏・リュウジの言葉が脳裏をよぎる｡
悩んだ裕子が選んだ道は・・・？

悩んだ裕子が選んだ道は・・・？

>>ぽるフェス会場が拍手で選んだ選択は・・・｢A：誘いに乗る｣

裕子はスマホの電源を落とし､中島とともにロケット公園に向かった｡
｢さっきの約束､絶対守ってよ｡｣
念を押す中島｡そして2人は公園の中に・・・・・・

と､その時｡

｢あんた､何しようるん？？｣

買い物袋を下げた1人の女性｡
それは､中島の妻・悦子だった｡
罰が悪そうな顔を見せた中島は､
｢この人知らん人｡｣
と裕子には目もくれず､悦子と2人で帰宅の途についた｡
中島は妻子持ち｡裕子は､呆然と見送った｡

家への帰り道､必死に探し回っていたリュウジとばったり出会う｡
｢心配させんなよ｡携帯の電源落ちてるし･･･｡｣
｢ごめん｡｣
リュウジは､日付が変わる前に裕子にどうしても伝えたい事があった｡

｢今日､レーベル側から最終回答が来る日でさ｡
･･･ダメなら諦めて､働こうと思ってたんだけど･･･契約してくれるって｡
ライク&ラブ､メジャーデビューだ！｣

喜ぶ裕子､そして2人は抱き合った｡

悩んだ裕子が選んだ道は・・・？

>>あのとき､もしも｢B:彼氏に電話する｣が選ばれていたら・・・？

やはり､彼氏であるリュウジに確認を取らないと・・・｡
そう思って裕子は電話をかけたが､リュウジにはつながらない｡
胸騒ぎを確かめるため､裕子は中島に断りを入れその場を去った｡

急いで帰宅した裕子｡
しかし家の前で､見知らぬ女性・アイコの車に乗り込むリュウジの姿があった｡
｢誰･･･その子？ねぇ｡｣
焦る裕子｡
｢リュウジ､誰？このオバサン？｣
｢さぁ？ご近所さんかな？｣
裕子をシカトするリュウジ｡そしてこう吐き捨てた｡
｢タイムオーバーだ｡俺の言うこと聞けないヤツは要らねぇんだよ｡オ・バ・サン｡｣
泣き崩れる裕子｡

｢オバサンが路上で泣いてたら､みっともないぞ｡｣

振り向くと､そこには中島が立っていた｡
｢自信持てよ！お前は､オバサンかもしれない｡･･･だけど､良い女だ｡｣
そう言うと､中島は再び裕子をロケット公園に誘う｡

｢セイウチでもラッコでも､どっちでもいいよ｡｣
｢いいや｡もう一回あの時に戻りたいんだ･･･｡｣

そう言い合うと､2人はあの頃と同じようにグータッチをした｡