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吉弘 翔の It's show time

「広陵のボンズ」真鍋慧が迎える初の甲子園。兄と違う進路を選んだ理由とは?

 “サクラの広陵”が3年ぶりにセンバツの舞台に戻ってくる。今月18日に開幕する第94回選抜高校野球大会。今回が25回目のセンバツ出場となる広陵は、過去に優勝3回、準優勝3回と輝かしい成績を収めている。今春はどんな花を咲かせるのか。楽しみにしている高校野球ファンも多いことだろう。

 大会に向けて広陵の中井哲之監督は、「打撃はあてにならないので投手を含めたディフェンスが一番大事」と前置きしつつ、「バットもよく振れている」と攻撃面での手応えを口にする。中でもカギを握るのが〈ボンズ〉の活躍ではないだろうか。

 

 

 1年生ながら名門の4番を任されている真鍋慧(まなべ・けいた)選手、愛称・ボンズ。身長189センチ、体重92キロ。高校通算11本塁打と長打が魅力の右投左打のスラッガーだ。

 

 

ボンズとはメジャーリーグで通算762本塁打を記録したバリー・ボンズにかけて中井監督が付けたニックネーム。「体も大きいし打たせたら遠くへ飛ばす。あとは下の名前の漢字が難しいから」とユーモアを交えて由来を説明してくれた。

 

 

真鍋選手はボンズというニックネームについて、「覚えてもらいやすく、なじみやすさが出ると思う」と親しみを感じているようだ。

 

 

 ボンズこと真鍋選手の注目ポイントは他にもある。中井監督は、「性格も非常に明るく、上級生から可愛がられる」と愛されるキャラクターであることを教えてくれた。真鍋選手の前、3番を打つことが多い2年生の内海優太選手は、「真鍋はフレンドリー。野球ではチャンスで絶対打ってくれるので頼りになる存在」と後輩に信頼を寄せる。

 

 

 一方、真鍋選手は先輩・内海選手のひと言で打撃の課題が改善したことがあるという。以前はスイングをした際、打球が沈むドライブ回転がかかってしまっていたが、内海選手から「打ち終わりを肩のラインと平行にするといい」と言われて打球が伸びるようになったそうだ。中井監督は、「学年を問わず教え合うのは広陵の伝統」と話す。

 

 

 強豪校の主軸としてチームをけん引する真鍋選手。実は進学先に広陵を選んだのにはある理由があった。「兄が広島商業で野球をやっていた。小さい頃から兄を抜かすことが目標だったから広島商業に行ったら抜かせないと思い広陵で日本一をめざそうと思った」。

 

 

真鍋選手の兄・駿(たけと)さんは2019年の夏に広島商業の4番キャプテンとして甲子園に出場しヒットもマークしている。今回のセンバツ出場が決まった時は、「甲子園は打席に立った時にボールが見やすい。4番がしっかり打ったら勝てる」とアドバイスをもらったそうだ。

 

 

 兄を越えるために進んだ広陵で昨秋、準優勝だった明治神宮大会に続き日本一を掴むチャンスが巡ってきた。「甲子園がどんな場所なのかまだ不思議なところがある。早くグラウンドに立って確かめたい」。昨年の冬からは1食で1.3キロ食べることをノルマに体重が3キロ増えたという広陵のボンズ!力強さを増した伸びる打球で日本一を掴みに行く。

 

 

▷真鍋慧(まなべ・けいた) 

2005年6月17日生まれ 広島市出身

小学校時代は瀬野ソフトボールクラブ、瀬野川東中では広島安芸シニアに所属。広陵では1年夏からレギュラー、昨秋の明治神宮大会では本塁打も記録した。4つ上の兄・駿(たけと)さんは、2019年、広島商業の4番キャプテンとして夏の甲子園出場。現在は法政大学の野球部に所属。