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第7話 「強い男」

男も女も「強い男」に憧れる。
「強い男」とは、筋骨隆々のマッチョな男かもしれないし、何でも解決できる地位や権力なのかもしれないし、不安を取り除いてくれる経済力なのかもしれないし、弱きを守る勇気なのかもしれない。

強い男。

悪役レスラーとして活躍していたプロレスラー、上田馬之助。
彼は現役時代、ホテルオークラの落ち着いたバーでウィスキーを飲むのが好きだった。
その夜も試合後の火照った身体を癒すため、いつもの席でいつものウィスキーを寡黙に飲んでいた。すると、酔っ払った客が上田馬之助に声を掛ける。
「プロレスラーって本当に強いのかい?」
すると上田馬之助は、グッと客を睨み、黙って次の行動に移した。

ウィスキーグラスを食べる。

酔っ払った客が何も言わずその場を立ち去ったのは言うまでもない。

大衆プロレス全盛期の時代、青少年による猟奇的な殺人事件は無かった。それは、プロレスを見て、皆が「強さ」を想像していからに違いない。
時代は流れ、プロレスは衰退し、代わりにリアル格闘技が台頭してきた。そこに、「想像力」は無い。あるのは一瞬で決まってしまう勝負という「事実」。そして加速度的に残虐さを増す犯罪。

強さとは想像力。

現在、上田馬之助は、1996年の交通事故で脊髄損傷の大怪我し、車椅子での生活を余儀なくされている。しかし、彼は歩けない身体でも障害者施設を訪問し、同じ境遇の人たちを励まし続けているという。

頑張れ!馬之助!! 僕もあなたのように強くなりたいと思っています。

  • 11月11日生まれ
  • A型 さそり座
  • ICU 教養学部 数学専攻卒
  • 銀行員からTV業界へ転身した異色ディレクター
  • 好きな食べ物 すき焼・チョコレート・メロン
  • 好きな言葉 「移動距離とアイデアの数は比例する」
  • 将来の夢は直木賞作家
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