広島ホームテレビ

放送番組審議会

第553回

開催日:2026年2月17日(火)
【課題】
『ドキュメント広島
自由学校 ボクたちのあしあと ~みんなで作る新しいカタチ~」』
(2025年12月29日放送)
出席委員(敬称略):

小川富之、大井美恵子、井筒智彦、奥田亜利沙、喜多村祐輔、木村文子、東山浩幸

 

合評での意見

【総合批評】

  • 広島県内で初めての体験学習を軸とした「自由学校」の挑戦を3年間にわたって継続して取材して番組に仕上げたことに敬意を表したい
  • 「子どもにとって真の学びとは何か」という問いを立て、視聴者がその答えを番組から読み取ってもらおうという作り手の熱意が伝わってくる
  • 主人公的存在として、不登校となり転校してきた「つつむくん」の変化を追いかけ、父母や寺島先生の思いも丁寧に描いているので、視聴者も9歳の子どもの心の変化や成長を追体験するような感覚になり、時間を忘れて見ることができたのではないか
  • ヒューマンストーリーの色合いが濃いドキュメンタリーとなっているが、「自由学校」が私立の学校法人であり、民間のフリースクールとは違うといった制度的比較や、学習指導要領をどのようにクリアできたのかという説明は不十分のように思えた
  • 「自由学校」で学びたい、学ばせたいと思う視聴者にとって、入学金や授業料の情報などのお役立ち情報をもう少し伝える工夫をしてほしかった

 
【批評ポイント】

①子どもの成長、そして自由学校の体験型学習が与える子どもやおとなへの心理的変化が十分伝わるか?

  • 主人公的存在の「つつむくん」がトロッコづくりを提案し、「作っては壊し、また作ってみる」を繰り返しながら一歩一歩進んでいく過程で、仲間とのコミュニケーションを養い、心が解き放たれてゆく様は伝わってくる
  • 通信簿ではなく「学びのあしあと」に記された先生からのメッセージを母から読み聞かせられた瞬間のうれしそうな、恥ずかしそうな表情から成長への自信がうかがえた
  • 大人については、「つつむくん」の父母、寺島さんをはじめとする先生方も「自由学校」を軌道に乗せたり、学校生活を支えたりするという視点で語っており、この間の心理的変化について目立って伝わってくるものは感じなかった

 

②“学校教育”のあり方を考えるきっかけにつなげられているか?

  • 教科書に頼らなくても、体験学習によって子どもたちの主体性や創造性をはぐくむ可能性を示しているという点で、タイパや没個性化といった昨今の学校教育の弊害について問題提起をしているように思えた
  • この「自由学校」がこうした弊害をすべて解決できる魔法の杖ではないはずだと思った
  • 人口減と向き合う地域のさまざまなステークホルダーが連携して実現したこの学校は、将来の学びを考えるうえで多くのヒントを提示してくれている
  • 子どもたちが集う学校を地域活性化の文脈に位置づけ、どうすれば持続可能な運営ができるようになるのか、そうした新たな仕組みづくりを社会に問うような続編に期待したい

以上