広島ホームテレビ

放送番組審議会

第549回

開催日:2025年9月9日(火)
【課題】
『テレメンタリー2025 レプリカ ~被爆遺品の伝言~』
(2025年8月6日放送)
出席委員(敬称略):

小川富之、大井美恵子、井筒智彦、稲田信司、奥田亜利沙、喜多村祐輔、木村文子、東山浩幸

 

合評での意見

【総合批評】

  • 遺品にスポットを当てたのは非常に特徴的で面白かった。
  • 純粋に遺品は人の心にそれだけ多くのものを伝える役割があると改めて感じた。
  • 遺品は何も言葉を発さないが多くのことを伝えてくれると改めて認識したとともに、そこからまたいろいろな物語を教えてくれる素晴らしい番組だった。
  • 「原爆資料館は展示室であると同時に死者の叫びの巨大な保管庫である」という表現は頭を打たれたような衝撃が走る素晴らしい言葉で、事実でもある。
  • この番組は原爆資料館を訪れる人の事前資料として編集すれば非常に効果が高いのではないか。

 
【批評ポイント】

1. 「被爆資料のレプリカ」という存在の意味が十分に伝わったか

  • 製作の過程で人の気持ちが入り、その心があって初めて見学者の心にも訴えるものがあったのだろうと非常に感じた。そういう意味でレプリカが存在する意味が十分伝わったのではないか。
  • レプリカという言葉を聞くと、本物ではないとなる。被爆資料としてレプリカを見た人はどういう思いになるのだろうという気持ちがあった。しかし、レプリカかどうかは関係なく心を揺さぶることができるのだと思った。
  • 技術的にも完全に作るのは不可能だと思うが、手作りだからこそ製作者が感じることをレプリカに反映している。だからこそレプリカを見る人の反応につながっていると思った。

 

2. 記憶を伝承することの大切さと難しさが十分に伝わったか

  • 伝承するためには言葉だけでなく実物も必要だと思った。
  • 言葉で伝えることは今までもたくさん取り上げていたが、展示を見た女性が、レプリカであることは関係ない、気づかなかったと言っているのと同じように、小学生らは細かい説明が全部読めるわけではないが、真っ黒焦げのお弁当があったなとか、焦げた三輪車があったなというのは頭に残る。だから、文章や話よりも実物を目の当たりにするのが一番衝撃的ではないか、記憶に残るのではないか。
  • 遺品管理は人知れず苦労があったのだなと思った。陰で支える人たちの努力にもスポットを当てて、実際この遺品管理、記憶を伝承することの大切さと難しさを十分に感じることができた。
  • 記憶を伝承することの大切さと難しさ。実物が劣化し展示不能となる現実。物だけではなく伝承の過程を作っていく方にフォーカスを当てることが増えていくと思うと、もっといろいろなものを見てみたいと感じた。

以上