広島ホームテレビ

放送番組審議会

第528回

開催日:2023年7月25日(火)
【課題】
いま、テレビの役割を問う ~地域に貢献するメディアであり続けるために~
(テレビ朝日系列局放送番組審議会の共通課題)
出席委員(敬称略):

小川富之、河合直人、井筒智彦、大井美恵子、喜多村祐輔、木村文子、武井三聡子、東山浩幸

 

合評での意見

【全体】

  • テレビは生活の一部。自分の知らない所に連れていってくれる素晴らしい情報源。
  • 世の中で起きていることを“生もの”として見られるのは新聞にもラジオにもない良い面。そこを生かして“実際の姿”を伝えてほしい。
  • 人々が見るべき情報、広く知ってほしい情報を発信していき、できるだけ多くの人に等しく情報を届ける。防災情報や災害時の対応の仕方、行政情報、日頃からの啓蒙活動(振り込め詐欺などの注意喚起など)を広く発信していくこと。
  • 中立・公正な情報を広く多くの人たちに正確に伝えるという使命を果たすためには、まず見てもらわなくてはいけない。見てもらうところにどのように持っていくかというのが重大な問題。

【公正な報道】

  • 他のメディア、SNS等と比べて思うのは、やはりテレビは中立であってほしいということ。例えば意見の割れやすい政治や憲法、戦争、平和、LGBTQといった題材を扱う時、片方の意見しかなかったり、強く取り上げたりするのは不公平であり、ややもするとYouTubeなどと同じ類になってしまう。
  • 意見の割れやすいものは、両方の意見を並べて視聴者に判断してもらうような番組づくりをしてほしい。一方の主張に偏ると、時に嫌悪感を覚える。
  • インターネットは対象を限定した情報発信で、テレビは中立的な立場で情報発信する役割がある。そのため、テレビはデジタルと融合しながら、ネット上にあふれる情報を上手く整理するといった役割もある。

【地域の視点、地域とのつながり】

  • 中央のメディア、在京キー局からは見えない視点、広島の足元からの報道が地元のテレビ局には求められている。
  • 中央に対するセカンドオピニオン、地域のオピニオン、地域の声を届けることが非常に大きな役割。
  • 地域で今起きていることをタイムリーに、公共性が求められるメディアとして、情報の正確な発信、発生した事象に対する正確な考察が期待される。
  • 視聴者とどうつながっていくかというのが非常に大事な問題。YouTube、Twitterは既にしていると思うが、今後その他にオンラインイベントやリアルイベントなどをやると、より身近なテレビ局、メディアになるのではないか。
  • 地域活性化のためには、地域住民や企業との連携は欠かせない。地域貢献している企業などの取り組みを応援して地域を元気づけることが大事。例えばニッチな企業を応援する番組づくり。

【地域の視点、地域とのつながり】

  • 災害時、インターネット環境がない高齢者はテレビの情報を通して、本当に今、避難すべき段階にきているのかなどの情報をリアルタイムでキャッチする。高齢者の目線で、ゆっくり、はっきり、分かりやすく伝えることが災害時にはすごく大事。
  • テレビが特に頼りになるなと思うのは有事の時で、やはり今、災害多発時代と言われる中でテレビの役割はとても大きい。

【都市部以外の情報、県外の情報発信】

  • 全体的にトピックが広島市(広島県)に偏っている。人口に比例した地域のニュースをしていたら、いつでもどこでも似たような街の情報ばかりになるのではないか。地域性や都道府県のカラーは、結構、中山間地域から見いだせることが多分にあるのではないか。田舎には、ネット上にはないおもしろい話が多くある。
  • ローカライズしすぎないように、中心地に偏りすぎないようにして、中山間地域の各地域の解像度を上げて、時には(県を)越境してつながりを豊かにする。その積み重ねを実直にやり続けることが、有事の際に本当に頼れる存在になる。
  • 県外のニュースを見ることで共通点とか相違点から自分の地域を見つめることにもつながる。系列局では、そのエリアでの信頼性を生かした取材力により知見が蓄えられているだろう。そういうものを共有したりミックスしたりして、広島の人にも楽しく役に立つ“広島以外”の話題があってもいい。

【独自の情報発信、コンテンツづくり】

  • 視聴者も視聴率も大事だと思いますが、そういうものを全部取っ払って、ホームテレビの皆さんが作り手として、表現者として本当に心から作りたいもの、偏愛とか熱狂みたいなものが出たコンテンツを見てみたい。
  • 地域の視点から離れて、自分たち独自の情報発信をすることもやるべき。
  • YouTubeなどは、内容が一方向の論調で、なおかつ子どもたちが自ら見ていることを考えると影響力が大きい。一方、テレビは、「公平・公正」が信頼の担保としてあるが、もっと踏み込んでやりたいこと、思い切った姿勢や考えを報道してみてはどうか。

以上