広島ホームテレビ

放送番組審議会

第519回

開催日:2022年9月13日(火)
【課題】
ドキュメント広島「戦地へ響け ヒロシマの音色」(2022/5/31放送)
出席委員(敬称略):

小川富之 委員長、河合直人 副委員長、石井暖子、井筒智彦、大井美恵子、喜多村祐輔、木村文子、東山浩幸

 

合評での意見

【総合批評】

  • 広島から発信する平和への想いが伝わる作品。
  • 平石さんたちの思いや行動を描きながら、広島で平和を願う人たちの気持ちも表しているように感じた。
  • 全体的に演奏の音色も心地良く、いいものを見たなという気持ちになった。
  • ラリーサおばさんのお誕生日に英心さんと岡野さんが演奏する姿はとても感動した。
  • 英心さんと岡野さんという10代の音楽家二人が、とても魅力的に描かれていた。二人が本当にウクライナの役に立ちたいという真っすぐな気持ちを表していて、そのピュアな姿が番組を力強く引っ張っているように思った。
  • 「どんな人でも、どんなことでもウクライナのためになれる」といったメッセージを考えさせてもらったいい番組だった。
  • ウクライナの現地の状況がエレナさんの親戚を通して伝わる様子は、ニュースを通して知る内容よりも現実的なこととして捉えやすい内容になっていた。
  • 明るい楽しい話だけではなく、現地の映像もあり、その中でもおばさんの「1時間生きられた。ありがとう」という言葉は、本当に貴重だった。どういう思いで暮らされているのかが、凄くずっしりきた。
  • たった2カ月の活動の取材だが、その中で家庭でのコミュニケーション風景、ウクライナで過ごすおばさんとの連絡を交えて、中身の濃いものがコンパクトに上手く描かれていた。
  • 対比を上手に使ってアピールしていた。日本では、英心さんがいて音楽を奏でる。その背景としては、あまり強調しないような形で今まさにウクライナで戦争が起こって続いているということを伝える。そして広島で、この平和な日本で生活をしているウクライナの方がいて、演奏をしている。あまり重たくもないし、良かった面だろうと思った。

「音楽に載せられた思い」と「家族の物語を通したメッセージ」のバランスについて

  • バランスは凄く良かった。世界共通の音楽であることと、やはり日本にはないファミリーの絆の深さを見せてもらえた。
  • 自分の感情とかピアノとのバランスを探りながら練習をしていて、誰かに教えられてやっているものではないと感じた。したがって、14歳だが目的意識を持って生きる大切さというのを凄く教えられた気がする。
  • バイオリンの音色によって英心さんと気持ちを一つにすることができて、それだけでも十分、視聴者に対して平石さんの心の内を訴える効果があった。全体的にはいいバランスだった。
  • 掘り下げ過ぎないことで全体として真っすぐメッセージを受け取れたような気がする。
  • 英心さんと岡野さんの印象が強く残って、家族の話というのは少し薄まったのでは。家族の物語という前提にしなくても、例えば英心さんを軸にした彼に関わる人々の話という構成でもよかった。

家族の被爆体験についてどの程度まで伝えるべきか、改善点があれば。

  • 既に戦争の惨禍が拡大しているので、ウクライナに対しての地道な支援活動ということだけで平和へのメッセージとしては十分に説得力があるのではないか。それで十分なメッセージ性があった。
  • 英心さんが祖父について多くを知らなかったということであれば、この取材の機会に父親から聞いて知っていく、それをそのまま捉えたので良かった。ことさら被爆3世であるということを強調せず、自然体で程良かったのではないか。
  • タイトルにあるような「ヒロシマ」を特段強く押し出す必要もなく、被爆教育などであるような「ヒロシマ」を使わなくてもよかった。それでも内容や伝えたいことは変わらないと思う。その点で、「被爆体験についてどの程度まで伝えるべきか」は、むしろなくても良かったかなと思う。

【批評を受けた制作側の説明】

  • 今、世の中で起きていることを広島の方に、より身近に感じてもらえるようにという思いから、ウクライナの現地にいる親戚とのテレビメディアではない映像でのやりとりで、ただ事ならぬ雰囲気を共有して頂けたのは良かった。
  • 音楽がテレビメディアとしてはかなり尺を取ってしまう。そこから伝わるものも多いのだが、落とさざるを得なかった部分が相当あり、そのあたりは確かに24分(CM枠を除いた本編尺)だと入らない部分が多かった。
  • ここで終わりというわけではなく、まだウクライナの侵攻も続いているので、今回の英心さんの継続取材、また新たにどういった伝え方があるのかを日々考えながら、今後もやっていきたい。

以上