広島ホームテレビ

放送番組審議会

第518回

開催日:2022年7月22日(金)
【課題】
「動画配信時代 地上波テレビに望むこと」(系列共通課題)
出席委員(敬称略):

前川功一、小川富之、大井美恵子、東山浩幸、見延典子、河合直人、藤本慎介、石井暖子

 

合評での意見

【総合批評】
地上波テレビを「コンテンツ」という切り口で考える

  • 地上波で放映したのちにネット見逃し配信で視聴できる機会が増えているということだけでも、優位性はあると考える。ただそれは、コンテンツは優位性があるが、テレビでの視聴に優位性があることには当然ならず、今後ますます全世代でネットでの視聴が増える傾向になっていくように思える。
  • 重要なのは、質が高く、いろんな世代向けの多くの種類のコンテンツをつくることに尽きる。
  • 動画配信は単一指向性のある形での提供になるが、地上波テレビは時間帯によって方向性を変えて提供するという意味がある。この二つの違いが鮮明であり、これからも効果的に地上波テレビの有用性が続いていくと思う。
  • 放送する番組をネットでも配信して、視聴者に双方を行き来してもらうような仕掛けづくりが必要なのだろう。
  • 地上波テレビには、定番の内容で安心感を与える面もあるのでは。デジタルと連動した新たな工夫も必要である一方、変わることなく、いつも出ている人が、いつもと同じトーンでお話しになっている、そういうことが大事な要素だろう。これは一つの優位性ではないか
  • 家に帰るとテレビをつけるというのは習慣化している人たちが一定数いるのがテレビの優位性。コンテンツとして、いかにじっくり鑑賞してもらえる作りも大事になってくる。
  • ライブでの放送、報道番組、情報番組、スポーツ番組は地上波テレビの強み。地元の情報を伝える番組もライブ中心でなければあまり意味がない。

情報伝達における地上波テレビの役割、社会的使命とは何か

  • 有事の情報や信頼に足る情報を得ようとするとき、中心はテレビ、補完的な役割としてデジタルメディアになるのだろう。趣味・娯楽や、一般的な世の中の動きを知ろうとする時には、好きな時にアクセスできるデジタルメディアが主になるのだと思う。今後は双方が補完しあいながらそれぞれの特性を生かしてゆけば良い。
  • 動画配信は、見たいときに見たいものが見られるというのはメリットだが、見たいものにしか接しないというデメリットもある。地上波テレビは、興味・関心がなかなか持たれにくい社会の課題を提供することで、視聴者に知らせ、気付いてもらうという役割がある。
  • 地上波テレビは、“命を守る”という点での役割は本当に大きいと思う。災害発生時に、テレビだと出演者がリアルに情報を伝えて、気持ちを込めて安全にしてくださいと呼び掛けることができる。これは今後も大きな役割として大事。
  • 学校で教えてくれないこと、教科書に載ってないことが起こった時にどういう行動をとるのかというのは、音と画像を一緒に駆使できるテレビの最大のメリット。
  • テレビの特性は、スイッチをつけたら、好むと好まざるとにかかわらず、その番組が目に入ってくること。あまり主体的に選ばれない防災や平和問題、国の制度の説明などは地上波テレビが放送するしかない。

地上波テレビはどうあるべきか

  • 放送と配信の融合が進んでいる中、地上波テレビだけが中立性や客観性を保って放送し続けるという過剰な意識は必要ないのではないか。
  • 地上波テレビでは様々な制約によりうまく表現できないことをネットで発信していく。地上波とネットという広いくくりの中で、地上波の役割を構築していくという考え方が今後の地上波のあるべき姿を考える上ではよいのではないか。
  • 地上波テレビというカテゴリーがこれから必要なのかどうか。さらに言えば、地上波テレビゆえに表現できることに制約があることがテレビをつまらなくさせているのではないかということも「地上波テレビの在り方」を論じるときには考慮すべきことなのかもしれない。
  • 発信する内容について、テレビ局によってある程度の違いがあり、それを受け止めて視聴者がどのように考えていくかという時代が将来的には来るのではないか。
  • ある程度の制約をつけて、この時間のこの番組までに何かをしようという時間割の組み方というか、一日のスケジュールを立てられる計画性のある生活をするために、私はテレビのニュースとか子ども番組というのは切っても切れないものだと思う。
  • テレビの特性として決まった時間に流すというところがあるので、毎日、定時に放送されるニュース番組や情報バラエティーといった生放送番組については、生活リズムに組み込まれやすいという点でテレビのほうが優位性がある。
  • 中立性は選挙期間では配慮する必要があるが、その期間以外は独自の取材によってきちんとした事実による放送であれば、どんどんやるべき。新聞でも各紙によってスタンスが違う。
  • 例えば性的マイノリティの問題など、地上波テレビが社会問題等を正しく発信していかなければならない。

【批評を受けた制作側の説明】

  • 若年層に対してネット経由でコンテンツを届ける、SNSでプロモーションをして、そういうコンテンツ自体があることを知ってもらうと取り組みがますます重要になってきている。
  • 事実を単に伝えるだけではなく、提供する情報の広さ・深さ、考え方・見方など、独自の付加価値を今まで以上に加えていくことが、これからも情報源として選ばれ続ける上では重要。

以上