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第2話 「青春の終焉」

青春。それは、夢や希望に満ち、活力のみなぎる若い時代のことを指す。

例えば、
ギラギラした太陽の下で汗を流しプレーする球児。
好きな女子との初デートで、手を繋げないもどかしさ。
肉汁したたるカルビ1枚で、ゴハン3杯はペロリの食欲。
将来はドリュー・バリモアと結婚するんだ!という思い込み。

これらはすべて「青春」である。
しかし、年を重ね、自分の歴史を振り返れば、「青春」は「懐かしさ」に変わる。
言い換えれば、青春が終わっているから懐かしさに変わるのだ。

では、いつ青春は終わるのか?

僕は、自分の名前が無くなった時に、青春は終焉を迎えるのだと考える。

人 はいつしか社会人になる。そして、新社会人は自分の名前を名乗る際に、自分の所属する会社の名前を先に述べる。この際、高校、大学などで得た自分の関係性 を捨て、会社の信用に頼り、上司の指示に従い、THE日本株式会社の中で時間を過ごさなくてはならない。つまり、名前を記号化し、無個性化することを、社 会は求めているのだ。

自分の名前の世界観が通用しなくなった時、青春は、突然、幕を閉じる。

団塊世代が定年を迎えようとしているこの時代、よく耳にする言葉は、「第二の青春」。
これはただ自分の名前を取り戻す行為に過ぎない。会社名や肩書き、地位や名誉も関係なく、ただ自分の名前を呼んでくれる環境を見つけることが「第二の青春」なのだろう。

青春。この瑞々しい言葉の中で生きるということは、人生という舞台で名前のある配役を演じることなのかもしれない。いや、生きている限り、主人公になりたいのが、人の欲望。だから皆、「青春」という魅力に取り付かれているのかもしれない。
もう、自分の名前が無くなっているというのに・・・

  • 11月11日生まれ
  • A型 さそり座
  • ICU 教養学部 数学専攻卒
  • 銀行員からTV業界へ転身した異色ディレクター
  • 好きな食べ物 すき焼・チョコレート・メロン
  • 好きな言葉 「移動距離とアイデアの数は比例する」
  • 将来の夢は直木賞作家
  • 現在、花嫁募集中

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